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外伝・仁美ちゃんファンクラブ。
 仁美ちゃんは、僕たちが毎晩おじゃまする、
バーチャルワールド大江戸三丁目二十五番地サーバーの中のネットアイドルなのだ。
世界中の数多のバーチャルワールドの中には、それこそ数多くのネットアイドルがいるのだが、そんな中でも、僕たちの大江戸三丁目二十五番地サーバーの中の仁美ちゃんはぴか一なのだ。

 なんといっても、仁美ちゃん、そのデビューの時のキャッチフレーズがすごく変だった。
『超大型新人ネットアイドル、仁美現る!響く重低音!ずっきゅん、どんどん!』
何?
響く重低音!ずっきゅん、どんどん!って、何かしら、アイドルらしくないそのキャッチフレーズ。
もしかして、和田アキ子の再来(?
なんか、そのキャッチフレーズを初めて見たときに僕たちの誰もが、ぢつはそう思ったのだったのだ。

 でも、その頃、ネットアイドルはそれこそ毎日毎日星の数ほど生み出されていたし、そして、どれもこれも同じようなものだったから、ちょっとやそっとのことじゃ、僕たちは驚くことは事はなかったのだったのだ。

 だが、
やっぱ、
そのキャッチフレーズの変さのように仁美ちゃんは違ったのだったのだ。

 そう、
仁美ちゃんは、
その変なキャッチフレーズのように、超大型新人ネットアイドルだったのだったのだ。

 え、意味がわからない?
だから、仁美ちゃんは超大型だったのだったのだ!

 そう、そう、
仁美ちゃんは、
身長50メートルの超大型新人ネットアイドルだったのだったのだ。

 プロフィール:
芸名:仁美ちゃん。
フリガナ:ヒトミチャン。
誕生日:ユニバーサル・センチュリーUC0079年5月5日。
星座:メイド座。
出身地:青森県五所川原。
性別:女。
血液型:Rh+(D抗原陽性)A型。
身長:50m
スリーサイズ:27m - 19m - 29m。
ジャンル:ネットアイドル。
趣味:秋葉原徘徊 グッズ収集(ブルース・リー、ジャッキー・チェン、中川翔子。
特技:広東語 イラスト ヌンチャク。
好きな色:群青色。

 僕たちは、仁美ちゃんのデビュー曲『お帰りなさいご主人さま♡ぽっぽぽっぽ♡』発表イベントで初めて仁美ちゃんを見たとき、その大きさにとてつもなく驚いたのだったのだったのだ。

 いや、ほんと、そのデビュー曲発表イベントはとてもすごかったのだ。
なんたって、身長50m。
そして、バストは27m。
さらに、足の大きさは8mなのだ。

 仁美ちゃんが、ちょっと踊れば、27mのバストの上下動から、風速30mの突風が吹き、ちょっとその腕を振り回せば、巨大竜巻が起こり、ステージ周辺の大地は地震のごとく揺れ、ちょっとだけステップを踏み間違えただけで、何人もの僕たちの仲間が踏み潰されたのだ。
あ、バーチャルワールド内の話だから、踏み潰されても、すぐ復活するから大丈夫なのだけど。
そして、その歌声たるや、『有楽町で逢いましょう』『君恋し』など数々のヒット曲で知られ、低音の魅力で戦後のムード歌謡を代表した歌手の故フランク永井さんをはるかに凌ぐ重低音。
そう、なんたって、身長50mなのだから、声も超重低音なのだ。
その重低音は、僕たちの下半身にずっきゅんどんどこ響きまくったのだったのだ。
そう、キャッチフレーズの響く重低音!ずっきゅん、どんどん!とはこれの事だったのだったのだ。

 僕たちは、アイドルはちいさくてかわいいものという既成概念を打ち破ったまったく新しいタイプの超大型新人ネットアイドル仁美ちゃんの誕生に狂喜乱舞したのだったのだ。
そして、すぐさま仁美ちゃんファンクラブを結成したのだったのだ。
それから、仁美ちゃんの人気は、まさにうなぎのぼり。
バーチャルワールド大江戸三丁目二十五番地サーバーは、
超大型新人ネットアイドル仁美ちゃんの熱狂と歓喜の渦に巻き込まれていったのだったのだ。


 だが、ぢつは、仁美ちゃんの人気もそう長くは続かなかったのだ。
そう、何かがひとつヒットするとそれの真似っこが登場するのも、このバーチャルワールドの常なのだ。
あっという間に身長100mの超ど級大型新人ネットアイドル真由美ちゃんが登場したのだ。
そして、身長100mの超ど級大型新人ネットアイドル真由美ちゃんは、僕たちの仁美ちゃんに戦いを挑んできたのだ。
真由美ちゃんのロケットパンチが仁美ちゃんに炸裂する。
仁美ちゃんも素早く動き、真由美ちゃんの背後を取ろうとするが、なにせ、真由美ちゃんは、身長100m。ヒップ60m、足の大きさは16mと言う巨大さ、真由美ちゃんのとても巨大なヒップアッタックが、仁美ちゃんに炸裂し、あえなく仁美ちゃんは撃破されてしまったのだったのだ。

 ああ、かわいそうな、仁美ちゃん……。
僕たちは、とてもとても悲嘆にくれたのだったのだったのだ。

 だが、そんな真由美ちゃんの人気もそう長くは続かなかったのだ。
そう、あっという間に、身長500mの超超ど級大型新人ネットアイドル絵里香ちゃんが登場したのだ。
そして、真由美ちゃんは、絵里香ちゃんの攻撃にあっさり撃破されてしまったのだったのだ。

 だが、だが、そんな絵里香ちゃんの人気もそう長くは続かなかったのだ。
そう、そう、あっという間に、身長1000mの超超超ど級大型新人ネットアイドル亜里沙ちゃんが登場したのだ。
そして、そして、絵里香ちゃんは、亜里沙ちゃんの攻撃にあっさり撃破されてしまったのだったのだ。

 だが、だが、だが、そんな亜里沙ちゃんの人気もそう長くは続かなかったのだ。
そう、そう、そう、あっという間に、身長2000mの超超超超ど級大型新人ネットアイドル紗由美ちゃんが登場したのだ。
そして、そして、そして、亜里沙ちゃんは、紗由美ちゃんの攻撃にあっさり撃破されてしまったのだったのだ。

 だが、だが、だが、だが、そんな紗由美ちゃんの人気もそう長くは続かなかったのだ。
そう、そう、そう、そう、あっという間に、身長4000mの超超超超超ど級大型新人ネットアイドル愛里ちゃんが登場したのだ。
そして、そして、そして、そして、紗由美ちゃんは、愛里ちゃんの攻撃にあっさり撃破されてしまったのだったのだ。

 なんだか、もう、ここまできてしまうと、僕たちはとてもワケが判らなくなっていたのかもしれなかったのだ。
なにせ、愛里ちゃんは、身長4000mのネットアイドルなのだから、
もう、顔なんて見えるわけもなく、ただ、ただ、巨大な足しか見えない。
そして、その足も、まるで小山のような、足だかなんだか判らない状態になっていたのだから……。

 そんな、僕たちの思いを知ってか知らぬか、愛里ちゃんより巨大な超超超超超超ど級大型新人ネットアイドルはデビューしてこなかったのだ。そんな感じだからなのかな、超超超超超ど級大型新人ネットアイドルの愛里ちゃんの人気も徐々にかげりはじめ、いつの間にか、愛里ちゃんは、バーチャルワールド大江戸三丁目二十五番地サーバーの中の巨大な高層ビルへと変身していたのだったのだ。




 何だろう、僕たちは、天へと近づくことを意識しないで求めているのだろうか(?
だが、それは、昔々、バベルの塔の建設で一度は失敗しているのではないのだろうか(?
僕たちは、またなにか大きな過ちを犯そうとしているのかもしれないのかもしれないのだ(何。





-間-





 そして、今、僕は、ハンディタイプ電子顕微鏡を覗き込みながら仁美ちゃんのコンサートを見ている。
そう、僕たちの仁美ちゃんは、とってもとっても小さくなって復活したのだ。
今度は、身長:0.3ミクロン。スリーサイズ:0.1ミクロン - 0.09ミクロン - 0.12ミクロン。
ハンディタイプ電子顕微鏡から覗き込む仁美ちゃんはとってもキュートなのだ。
そう、
やっぱり、
アイドルは、
ちっちゃくって、かわいくなくちゃねっ!!




*




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by katuo0076 | 2008-11-10 21:44
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