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アリクイの晩鐘。
 「東京のシロアリはすっぱい」

アリクイは細長い舌をちろちろとなびかせ、そうつぶやくと、

手に持ったアタッシュケースをベッドの上に放り投げ、ネクタイを緩めた。

「やはり、新建材と称して、有害な防腐剤、防虫剤なんかの化学物質をたっぷり振りかけてるからだな」

アリクイのつぶやきは止まらない。

「あと、合板の接着剤も問題だなあ、無垢の材料を使えよ」

白黒のツートンカラーボディが、夕日に照らされて、たそがれ色に染まっている。


 アリクイの仕事は、シロアリ駆除である。

その前は動物園に勤めていたのだが、別けあって二ヶ月前に退職した。

今は社会法人日本しろあり駆除協会に勤めている。

まあ、趣味と実益を兼ねた仕事だと、アリクイ自身は今の仕事に満足している。

ただ、動物園時代のことは語ろうとしない。

アリクイに動物園を退職した理由を聞いても、

アリクイはいつも細長い舌をちろちろとなびかせるだけなのである。


 最近、アリクイは悩んでいた。

シロアリ駆除の仕事をすればするほど、人というものがわからなくなってゆくのである。

それは、東京のシロアリはすっぱい。と、感じた時から始まった。

まあ、別に東京のシロアリがすっぱかろうが、甘かろうが、アリクイ以外は知ったこっちゃない。

とは、判っているつもりなのだが。


 でも、アリクイの上司の小山田までにそんなことを言われるとは思っていなかったのである。

「小山田さん、この家のシロアリはすっぱいですよ」

アリクイは、初めて東京のシロアリのすっぱさを感じたときに、上司の小山田にそういった。

小山田はそんなアリクイの言葉を茶化すように。

「まあ、すっぱいなら砂糖でも掛けて食べてみればっ」

と、ふざけたような言い草をしたのである。


 なぜ、小山田はシロアリ駆除の仕事をしていながら、シロアリに興味を持とうとしないのだ。

アリクイはそう思った。

シロアリは害虫ではない。

自然と共存する生活環境になくてはならない貴重な虫なのだ。

自然界においてはセルロースの分解に携わる重要な要素として不可欠な存在なのだ。

そして、高度な社会形成能力をそなえる。

シロアリの世界は人間界なんか比べようもないくらい高度に細分化され統一された世界なのだ。

アリクイにはその高度が痛いほどにわかる。

そう、あの、あの、あの動物園での出来事。

いや、それ以上は語れない。

そう、それが、今のアリクイだから。


 だが、その世界が、今すっぱいのだ。

新建材だけの影響ではないのかもしれない。

何か、何かが、変わりつつある。

人の世界も、シロアリの世界も、そして、アリクイの世界も。


 アリクイはそう感じながらも、明日の仕事のために、ゆっくりと休むことにした。

活動的であっちこっちと動物園から逃亡までだ企てたが、とても優しかった。

アリクイは母の背中をかぎ爪でしっかりとつかんだ頃の子供の頃の思い出をベッドの毛布に感じた。


 アリクイがかぎ爪を立てる毛布。

それは、ウール100%のとても上質なものであり、母の思い出を感じるには十分な上質さでもあった。

でも、眠りに落ちるアリクイのそのかぎ爪が少しながら震えていることは誰も知らないことであった。
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by katuo0076 | 2008-04-30 21:23
ミナミコアリクイ。
 chiering2さんのコケモモちゃん、今年3月1日に生まれたばかりのワオキツネザルの赤ちゃんがかわいいです。と、思っていたところ、昨日テレビでみたのですが、サンシャイン国際水族館のミナミコアリクイの赤ちゃんも、やばいくらいにかわいいのですよ。

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■ミナミコアリクイ■
分類:脊索動物門  哺乳綱  貧歯目  アリクイ科
学名:Tamandua tetradactyla
英名:Southern tamandua
別名:コアリクイ
特徴:ベネズエラからブラジル、ウルグアイ、アルゼンチン北部にかけて、アンデス山脈より東側の南アメリカ大陸に分布。熱帯林や低木林などに主に単独で暮らし、夜行性。樹上性が強く、夜間動き回りながらシロアリやアリ、ハチなどの昆虫を長い舌でなめとって食べます。尾はオオアリクイとは異なって毛が短く、木の枝などに巻きつけることができるようになっています。また地上で敵に出会ったときには、この尾を支えにして後肢だけで立ち上がり、長い爪のある前足を強調して、相手を威嚇する生態が知られています。交尾は秋頃に行われ、翌年の春に1頭の子を産みます。子は母親が背中におぶって保護します。

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 昨年の12月24日に生まれたそうで、名前はまだないのだそうで、現在、ミナミコアリクイ赤ちゃんの一般公開&名前募集中!なのだそうです。

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 大人になってもそれ程、大きくはないようです。中型犬ぐらいだろうか。それぐらいだったら家でも飼えるのではないかとも思わないでもないです。ああ、っま、あ、もっとも、このミナミコアリクイ。国内では11頭しか飼育されておらず、とても繁殖はムツカシイのだそうで。そんな中でのこの赤ちゃん。とても貴重なのですよね。やっぱ、家で飼うのは無理でしょう……。

 あと、この赤ちゃんのお母さんタエ。脱走事件というのを起こしているそうで。2005年6月のこと、水族館の一角にある小動物の放し飼いコーナーで飼育されていた、ミナミコアリクイの「タエ」が、飼育係の目を盗んで脱走。出入り口の引き戸にカギがかかっておらず、自分で戸を開けて逃げ出したらしい。体長約50センチ、体重4キロと、小ぶりの中型犬ほどの大きさであることから、人に危害を加える可能性は低いとして通常通り営業を続けたという。スタッフ70人で捜索したが、その日は発見できず、翌日午前8時半ごろ、約2メートル離れたペンギンビーチで約60羽のペンギンに交じって人工岩の上にいるところを発見、無事保護された。との事です。
やっぱり、木を隠すには森へという事ですね(違。

 こちらでムービーがみれます。
赤ちゃんを背負って積極的にずんずん歩むタエの姿も母はたくましの如くです。
ムービーの公開がいつまでか判らないので、写真はムービーのキャプチャです。
できれば自分で出かけて写真とってきたいなとも思いますがねぇ。



■「またあした」さま。好奇心にトラックバック。
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by katuo0076 | 2008-04-27 11:14
041:存在(富田林薫)
ああ、どうってことない僕の存在が大きなまちのひとごみに消える
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by katuo0076 | 2008-04-26 10:48 | 題詠blog2008
040:粘(富田林薫)
念入りに捻出された年金が粘土層へと練り込められたり
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by katuo0076 | 2008-04-21 09:25 | 題詠blog2008
039:王子(富田林薫)
金持ちの砂漠の王子まひおりて南アルプス天然水買ひ占めてゐき
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by katuo0076 | 2008-04-20 09:57 | 題詠blog2008
038:有(富田林薫)
木星へむかふ有人ロケットにのりこむ君はゑがほであつた
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by katuo0076 | 2008-04-19 11:07 | 題詠blog2008
眞水。


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あふれでる眞水はふひにあたたかく少女のかうをぬらしてをりぬ

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by katuo0076 | 2008-04-19 10:11 | 富田林薫
037:V(富田林薫)
定年をむかへし父がスーファミのドラクエVに嵌まり燃えゐき
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by katuo0076 | 2008-04-18 08:13 | 題詠blog2008
036:船(富田林薫)
何処へでも流れゆくやう愛犬とふるびた船にくらしてをりぬ
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by katuo0076 | 2008-04-17 08:18 | 題詠blog2008
035:過去(富田林薫)
アルバムの寫眞をはがすひたむきな過去があなたが散らばつてゐる
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by katuo0076 | 2008-04-16 12:46 | 題詠blog2008