お寿司にしてね、かあさん。ハウスインドカレー。
 「今夜、お寿司にしよう」

 そう、ワタシが口に出した瞬間に家族の間に笑みがこぼれるのが判った。
やっぱり、お寿司って言葉は人々を幸せにするのだろう。

 「じゃっ、僕は、から揚げと、ケーキーと、プリン食べる!」
「おぃ、おぃ、お寿司屋さんだぞ。なんでそんな物ばかり食べなきゃいけないんだ」
「だって好きなんだもん」
「そんなんじゃなくて、鮪とか、鮪とか、鮪とか、鮪とか、鮪とか、鮪とかあるだろう」
「あら、いやだ、おとうさん。鮪ばっかり」
「あっっ、だって好きなんだよっ」


あっははははははははははははっ(笑)


 そんな家族の会話ができるのも、いつもの回転寿司屋のおかげだと思っている。

 まっ、回転寿司屋なんだから、別に高級寿司ってワケじゃんないのだが、ワタシは回るベルトコンベアー、その上を意気揚々と流れる、数々のネタを見るのがとても気に入っていた。

 流れるネタにはドラマがある。
「あっ、あの中トロ。食いたいっ!」
とっ、思った次の瞬間。
二つ前の客がそれを手にしてしまう。
「あっ、しまったっ。席が悪かったかっ?」
なんてっ。
回り来るネタ巡ってのココロの葛藤。
「おっ、とっ、こいつは、もう3順目ぐらいだっ、これはもう手を付けないでおこう」

 自然とネタの鮮度も判るようになり、失敗もしなくなる。
まあ、言ってみればネタのと共存、寿司の自然科学の学習である。

 とても、とても、深い、深い、深いのだ。
回転寿司は奥深い。
何度通っても、その真の意味を理解する事は不可能なのではないか?
とっ、思わせる。
そんな所も、ワタシを惹きつける理由なのだと思うのである。











 だがっ……。


 「えっ???????????」
「あらっ??????????」
「電気がついてないよっ。あっ、看板もない」

 
 いつもの、回転寿司屋の前まで歩いていった私たち家族は愕然とした。


 そう、私たち家族のいきつけのいつもの回転寿司屋はっ……。


 3日前に閉店していたのであった。


 「えっっ。閉店っ!!」
「何てことでしょうっ!!」
「おおっ、いったいどうしたと言う事だっ!!」
「まっ、確かに……いつも並ばずにスグ入れたからっ……」
「お客さんが少なかったってことよねっ……」
「あああああああ~……」
「仕方ないわね、今夜は別の洋食レストランにでも行きましょう」
「うん。僕はそれでもいいよ」
「はぃ、じゃっ、おとうさん。行きますよ」
「あああああああ~……」

 

 静まり返った店内。
回らなくなった白いベルトコンベアー。
家族の笑みも、恋人の語らいも、オヤジのビールって言葉も、繰り返されることは無いボックス席。




 ワタシは、暗い店内を窓から覗き込みながら。

「回らないベルトコンベアーはただのベルトコンベアーだっ」

とっ、呟いた……。


















まあ、要するに近くの回転寿司屋が閉店してしまったのですよ。とっ、言う事です。これじゃ開店寿司屋じゃなくて閉店寿司屋ですねっ。あははははははははははっ(笑)?以上。
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by katuo0076 | 2005-09-27 18:33
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